どうしてますかIT導入
昭和時代の小規模事業者は何でも手書き・紙・郵送を行っていました、FAXを導入して情報交換は少し趣も変化してきました。近年、小規模事業者でもITの導入が必要不可欠な時代になってきています。ITを正しく活用することによって、業務の効率化やコスト削減、新しいビジネスチャンスの獲得などの様々なメリットが得られるからです。しかし、IT導入には初期費用がかかるため、小規模事業者にとってはどうしても敬遠されがちです。そこで、今回は小規模事業者にとってのIT導入のメリットや方法、注意点について解説します。業務効率化や売上げアップなど、IT導入によって得られるメリットを理解し、ビジネスの発展につなげましょう。
小規模企業の存在感
小規模企業は下図のような特性があるからこそ社会において果たせる役割があります。
- 地域経済への貢献:小規模企業は地域経済に密接に関わり、地域社会の雇用創出や経済活動を支えています。
- 柔軟な対応力:小規模ならではのスピーディーで柔軟な意思決定が可能であり、顧客のニーズに迅速に対応できる強みを持っています。
- 個性と専門性:独自の商品やサービスを提供し、特定の分野において高い専門性を持つことで、大企業にはない個性を打ち出すことができます。
- 顧客との密接な関係:顧客との距離が近く、個々の顧客と深い関係を築くことができるため、顧客満足度を高めることが可能です。
- 頑健性と偏在性があるから、社会基盤の狙い手となれる。
これらの役割を果たすことで、小規模企業は社会に個性と持続可能性という価値をもたらすのです。
IT導入の現状は
図―1
日々の業務に追われる小規模事業者にとってコロナ過では、デジタル化への対応、ITインフラ、自動化・ロボット導入、強靱なサプライチェーンなど、日本が取り組まなければならない喫緊の課題を浮き彫りになりました。
2018年版中小企業白書【下図】(5年前のデータだが現状に変化はありません)によると、中小企業がIT導入・利活用を進めようとする際の課題として、「コストが負担できない」「導入の効果が分からない、評価できない」「従業員がITを使いこなせない」といった点があげられています。「課題は特にない」20%弱ありますが、デジタル化の必要性を理解していないためと考えられます。
図―2
IT導入のステップは
以下の様なステップになりますが、下表における1,2のステップが重要です。
IT(以後、ビジネス用アプリと称す)導入支援の全体像 |
お客様のステップ |
弊社のアクション |
1 |
【見える化】現状・問題の見える化と課題の特定を行う。 参考:業務改革:業務フローを作ってみよう(業務の可視化) |
●お困りごとの見える化 お客様の抱えるお困りごとがビジネス用アプリで解決可能かどうかを確認していく。 |
2 |
●現状の課題の見える化 お客様の課題を明確にするため、お客様の業務の現状を確認する。お困りごとに関連した業務の詳細と業務量を把握し、また、業務のどのような点に負担を感じているかを明確化する。 |
3 |
●現状のIT利用状況の見える化 お客様にあったビジネス用アプリの要件を整理するため、事業者のIT利用レベルを確認する。パソコンの台数や利用スキル、ネットワークの状況、現状利用しているシステムを明らかにする。 |
4 |
【導入する】
ビジネス用アプリを解決策として導入する
参考:
中小機構が提供する、IT導入に活用できるツールを集めたポータルサイト「ITプラットフォーム」
|
●有効性の高いビジネス用アプリを探す
- ビジネス用アプリ提供事業者のHPに記載されている機能や導入必要な機器等を確認
- ビジネス用アプリ提供事業者に対し、課題が解決可能かどうか質問等を行う
- 見積作成を依頼、以上の手順で、小規模事業者にあった有用性の高いビジネス用アプリを比較・検討する。
|
5 |
●ビジネス用アプリの提示 ビジネス用アプリの基本情報を比較した後、実際に試用する。無料で試用できるものを優先的に促すことで、使い易さや機能・導入の負担を確認できる。提供事業者の導入サポート体制についても確認し、最終的にビジネス用アプリ
を選定してもらう。 |
6 |
●フォローアップ ビジネス用アプリが実際に課題解決に寄与しているかを評価する。 |
DX(デジタル・トランスフォーメーション)事例
J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]より引用
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、自社の変革(トランスフォーメーション)を実現するためにデジタルの力を活用する、というのが本来の意味だ。しかし、時としてデジタル導入に意識が集中し、肝心の変革を見失っている事例が散見される。これが中小企業のDXが失敗に終わる一因ともなっている。
賃金の安いパートや派遣社員に頼らず、新卒で採用・育成した正社員(再雇用の嘱託・パート社員を除く)だけで運営しているメーカーが群馬県にある。
電力会社や重電メーカー、鉄道会社、自治体などに向けて配電盤(電力制御装置)を開発・製造する日東電機製作所(群馬県太田市)がそれだ。人件費の高コスト体質を乗り越えるため、早くからデジタル化による生産性向上に取り組んでおり、2022年にはDX(デジタルトランスフォーメーション)の先進企業として、
経済産業省の「DX Selection」の準グランプリに選ばれた。
:社員141人で間接部門は4人
デジタル技術を活用した「高付加価値化事例(利益率向上)」事例
例1 土屋合成
群馬県富岡市にあるプラスティック射出成形企業長年にわたり徹底的なデジタル化を推進。デジタルデーターを品質管理に活用して、利益率の高い生産を受注
<背景・課題>
・中国等との価格競争の激化。
・24時間・365日工場をフル稼働させるが、夜間トラブル時の対応が大きな負担であった。
<取組内容>
・IoT、AI、ロボット等のデジタルテクノロジーを社長自らが学び、毎年売上の約1割相当を20年間継続的に投資し、圧倒的な生産性向上を実現。
・余剰人員を高付加価値化分野へ転用、更に取得したデジタルデータを品質保証・トレーサビリティに活用。
・これにより、従来品より利益率の高い家電モーター部品を受託。利益率は向上、売上も拡大を続ける。
・現在は検査部門にAI画像検査を取り入れて更なる高度化を図ると共に、より利益率の高い受注を取り込むべく取組を拡大。
事例2 山口製作所
新潟県小千谷市にある金属加工メーカー職人技も徹底的にデジタル化することで、若手人材でも高いクオリティの生産が可能
<背景・課題>
・社長自らがIT知見が豊富であり、1968年の創業当時からコツコツとデジタル化を推進。
<取組内容>
・社内の情報管理、作業効率化のための仕組みとして、生産管理システムを独自開発。また、生産設備の稼働状況の見える化、職人技のデータ化にも着手。
・更に、生産管理と生産現場の両システムを連動させることで、新人でも技術力の高い仕事が容易にできるようになるなど、高い次元での効率化の促進に成功。
・生じた余剰を従業員のスキル向上や研究開発等に活用することで、たえず新たな技術の獲得が進む好循環が生まれている。これら事業領域の拡大により新たな受注獲得に繋がっている
事例3 国本工業
静岡県浜松市の自動車部品製造メーカー
中小企業ながらロボット100台が自動生産。余剰で新たな技術開発に取組み、トヨタも認める高い技術を獲得
<背景・課題>
・約30年前IBMの精算管理システムを導入するなど、製造工程のデジタル化に積極的に取り組む。
<取組内容>
・社内にて基本的なプログラミング等ができる人材を確保して、生産管理、受発注、品質管理等のデジタル化とそれぞれの連携による高度な効率化が実現。
・生産現場では、100台のロボットが稼働しており、人手がかからずに大量生産品する仕組みが稼働。
・余剰をつかって、自らの生産技術の高度化に活用することで、他社ではできない技術力を獲得、中小ながら、トヨタのTire1としてグループからの信頼も
小規模事業者デジタル技術活用事例
受発注作業を省力化したい/間違いをなくしたい
【企業業種】製造業
【事業内容】産業用機械製造・販売
【従業員数】15名
【お困りごと】在庫を当社保有の倉庫(複数)で管理を行い、受発注については、FAXで受注し、担当従業員が受注の都度発送業務まで行っていました。
在庫保管倉庫が複数あることと、在庫管理をEXCELで行っていた為、入力忘れやミスがあり在庫管理体制が確立されていませんでした。そのため、複数倉庫に対応した在庫管理の導入を検討しました。
【支援内容】
図―3
【導入後の事業者の声】
各倉庫の在庫をリアルタイムに把握することができ、管理体制を確立することができました。導入ビジネス用アプリには販売管理機能もあり、営業先でもスマホを使って在庫確認ができるので、営業支援にも役立っています。
経理や労務管理を省力化したい/間違いをなくしたい
【企業概要】サービス業
【事業内容】月極駐車場の開発・管理・運営
【従業員数】4名
【お困りごと】当社の経理業務には、駐車場契約者からの駐車場利用料金の入金を銀行口座で確認し、顧問税理士指定の会計ソフトへ入力する業務があ
りました。管理駐車場の増加に伴い、毎月の入力作業の人的負担が課題となり解決策を模索していました。
【支援内容】
図―4
【導入後の事業者の声】
駐車場契約者からの入金は口座経由が大半であったため二重の入力作業がなくなり、作業時間が50%程度短縮されました。削減された時間を営業活動に費やすこと
で、売上の増加にもつながりました。
- ●通常枠(A・B類型)
-
、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入するための事業費等の経費の一部を補助等することにより、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ることを目的とする。
- ●デジタル化基盤導入類型
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」という。)が複数年にわたって中小企業・小規模事業者等の生産性向上を継続的に支援する「生産性革命推進事業」内の「IT導入補助金」において、デジタル化基盤導入類型(以下、「本事業」という)を設け、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等を支援するとともに、インボイス制度への対応も見据えつつ、企業間取引のデジタル化を強力に推進するため、「通常枠」よりも補助率を引き上げて優先的に支援する。
インボイス制度と電子帳簿保存法
図―5 インボイスと電帳法
インボイス対応どうしますか?インボイス制度と電子帳簿保存法の対応は急務です。
インボイス制度適用業者の対応法はここをクリックしてください。
電子帳簿保存法の対応詳細はここをクリックしてください。
インボイス制度と電子取引の取引情報に係る電磁的記録に対応するために、請求書など
Excelbook 伝票ソフト売ります・作りますをご覧下さい。
小規模事業者持続化補助金インボイス枠が追加されました。
小規模事業者持続化補助金<一般型> 第15回公募 公募要領:小規模事業者持続化補助金インボイス枠詳細
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〇補助上限:[通常枠] 50万円 [賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠] 200万円
- ※インボイス特例対象事業者は、上記金額に50万円の上乗せ(詳細はP.13をご参照ください)。
- 〇補 助 率:2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4)
- 〇対象経費:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、新商品開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費