
業務フローとは
業務フローとは、業務内容や手順を視覚的に表現したフローチャートのことです。これにより、業務の全体像を直感的に理解しやすくなり、業務マニュアルや新人研修に効果的に活用できます。
業務フローの主な役割とメリット:
– 情報共有の促進: 業務フローは、従業員間の情報共有を円滑にし、業務の属人化を防ぎます。
– 生産性の向上: 業務フローを作成する過程で、無駄な作業やプロセスの改善点が明らかになり、生産性の向上につながります。
– ミスの防止: 業務プロセス全体を可視化することで、問題点やミスの原因を特定しやすくなり、業務の質を向上させます。
業務フロー作成の基本的な手順:
1. 目的の明確化: 業務フローを作成する目的を明確にし、誰のために、何のために作成するのかを整理します。
2. 関係者の洗い出し: 業務に関与するすべての関係者を特定し、業務の流れを把握します。
3. 業務手順の洗い出し: 各業務の手順を詳細に書き出し、必要な作業を明確にします。
4. 手順の時系列整理: 洗い出した手順を時系列に沿って並べ、業務の流れを整理します。
5. フローチャートの作成: 標準化された記号や図形を用いて、業務フローを視覚的に表現します。
適切に作成された業務フローは、業務の効率化や品質向上に寄与し、組織全体のパフォーマンスを高める重要なツールとなります。
のように捉えることができます。
具体的にはどうするか?
A.業務フローの作成の手順・検討・改善
【a.業務フローの作成:洗い出し】
-
大きな方眼紙などを用意する。
- 業務で使用している、伝票、帳票を整理する。
- 業務の流れに沿って部署ごとに伝票、帳票を並べてみる。
- 伝票、帳票で使用されている項目を列挙してみる。*Excelなどを使用して。
【b.業務フローの検討・改善】(見つける、追究する)
- 項目名は同じだが内容が異なってはいないか?(a.3のデータを利用して)
- 逆に、内容が同じだが項目名は異なっていないか?
- 伝票、帳票が業務(部署・人)の流れに沿って流れているか?
- 伝票、帳票は情報の発生源で作成されているか?
- 人的要素にムダな箇所はないか?
- 担当者毎に異なる作業方法で行われていないか?
- 作業を簡素化できないか?
- 「項目名」に“その他”はありますか?“その他”という項目は排除しましょう。常に使用しているならば、使用内容に合った「項目名」にしましょう。
【c.業務フローの作成のヒント】
図ー2の「受注」ブロックでは、以下について整理してみる。
- 「受注情報」の種類はFAX・メール・WEB?誰が行ない、どのように保存するのか?
- 「生産情報」は誰が作成(伝票?)し、どのように他部署へ伝達(伝票?)するのか?
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「生産情報」の形態は、紙・掲示板・電子デバイス・・・、2.と関連して。
【d.業務・項目偏移図(図ー6参照)を作成する】
フローのみではなく、項目を羅列し伝票類との関連性などを表に表現します。(この作業は、b.の作業として行うのが良い)
【e.業務フローの作成効果】
- 業務効率化による生産性向上、業務処理コスト削減。
- 業務調査・可視化を通じて業務上の課題を明らかにします。
- 課題解決の過程で業務処理方法の標準化・ビジネスルール策定などにより変化に強い透明度の高い業務プロセスを構築できます。
- 属人化した業務を抽出して平準化することで、誰もが業務を遂行できるようになる。
- 属人化の原因から、制度やルール、運用を見直すことができる。
- 予め業務プロセスに潜むリスクを把握できるので、優先的に解決策を検討できる。
- 全ての業務内容を挙げることで、システム導入時の要件が明確になる
- 人事配置や人材育成などのタレントマネジメントを的確に行え、業務を最適化できる。
- 業務のムリ・ムダ・ムラを排除できるので、コスト削減や業務の効率化に繋がる。
-
顧客ニーズとマッチする業務に注力でき、顧客満足度の向上が図れる。
B.情報処理システムの導入を検討してみる】(立案する、実行する、評価する)
図―2:製造業の部門展開
- 発注書(web、FAX、電話、メール…)から 在庫を確認して生産計画を作る。
- 材料発注の手配(メール、電話、FAX)をして 入力作業を行う。
- 出荷票作成、請求書作成・・・にどの程度、人数を費やしているでしょうか?
-
人員不足の懸念もあって、無駄な人員・工数について検討することが重要です。
a.情報処理システムの導入を検討してみる
- 生産管理システム を導入すると、見積・受注・発注・仕入・生産・売上・会計まで システムが一元管理してくれます。
- 「設計」→「生産」→「営業」 →「経理」:一気通貫で改革を推し進めることで短期間で大きな改善効果を得ることができます。
-
生産(もの作り)が優先され、情報処理システムなどは、なくてもいいと思われている企業が多いように思われます。しかしながら、情報処理システムを導入することで業務(受注から請求・経理)の改善が行えます。
b.図―2を基に情報処理システムを検討する
- データ入力の工数を意識したシステム(データ連携)。
-
製品情報、顧客情報は、どの業務においても同一とする(データ共有)。
上記をシステム要件の主として、下記要件とする
- ・・データのX:Yは会社データ(会社NO)、製品データ(製品NO)を引用。
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出荷データは受注データを引用し、出荷数を入荷、全納品か一部納品を可能とする。
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請求データは出荷データを引用し、請求額入力・請求先ごとに集約できるなどの機能を可能とする。
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生産計画に基づき在庫情報を基に不足分のみを発注する。
-
入荷データは発注データを引用し、不足分など確認できる機能を可能とする。
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支払データは入荷データを引用し、支払入力・支払先ごとに集約できるなどの機能を可能とする。
- 受注データは請求データまで引き継がれる事、発注データは支払いデータまで引き継げられること事が重要です。(入力コストの軽減、人的ミス削減)
- CSVファイル利用ができるシステムが重要です。
【情報処理システムの概要】
上記(図ー2)を考慮した情報処理システムの概要は
図―3:製造業データ連携
生産管理システムを導入することにしても、簡単な取組として、ワード(Word)とエクセル(Excel)で事務工数半減(請求書データから売掛金データに変換)にトライしてみる、あるいは、情報(データ)の共有化を行い、事務工数の半減を行うことも可能です、下記をご覧ください。
会計処理データで在庫管理を行うや
生産管理システムと会計管理システムとのデータ連携。など方法があります。
よく見られる傾向として、各部門の要求に従うがまま、継ぎ接ぎだらけのシステムを構築しても、ただの「業務のコンピュータ化(自動化)」であり、「IT」化とは言えません。
C.「業務フロー」作成ヒント
最初から、図ー2ができさらに図ー3への展開はズームスにはいきません、組織が大きければ大きいほど、スッキリとした図にはなりません
図―4:組織とデータの例
図―4はページ作成者が部署を増やして作成したものですが部署や伝票の数が多いと一覧性のある業務フローにはなりません、そのような場合は、部署をまとめたりしてブロック区化するのも一手段です。ただし、入出力される伝票は必ず記入することが良いと考えます。
図―5:業務フロ-階層化
図ー4から図ー5にすると複雑になった感がありますこの方法が良いと考えられます。
要するに最初からすべての業務・伝票を記入するのではなく、ブロック化して順次ブレークダウンして詳細化をすることが重要です(項目遷移図も同様に)。弊社が要件定義を数多く手掛けた実績よりの階層的手法です。
D.項目遷移表は重要な要素を含んでいます
「図―3:製造業データ連携」では書ききれていなことがあります。「図―6:項目遷移図」の上段に“基本的に受注伝票の項目を引用する”と記入してありますが、この意味は“受注NO”を”仕入情報”、“出荷情報”、そして経理の入金情報まで連結することで、受注から入金までの様々な情報を分析することが可能となります。
例えば、受注に対して
- 生産がスムーズの行われたか?
- 材料仕入がおこなわれたか?
- 予定通り出荷できたか?
- 入金があったか?
- 季節指数などの把握できる。
図―6:項目遷移表
E.「業務フロー」ができたとして
業務可視化を目的として、業務フローの作成を行ったと思いますが、企業は常に変化しています、変化に対応するために、
PDCA(Plan:計画する、Do:実行する、Check:評価する、Action:改善する)を回す事が重要です。そして
業務一覧表を作ることをお勧めします。また、新人研修用に使用することで業務の把握が早くなります。
図―7:業務一覧表
Ⅳ.例題として
「経費精算」では以下のようなワークフローが想定されます。
- 申請者が経費申請をする
- 上長が確認・承認する
- 経理部に経費申請が届く
- 経理担当者が確認・承認する
- 申請者に対して精算処理を行う
- 経理システムへの入力
上記、図ー3、図-6を参考に
Ⅴ.弊社における「業務フロー」作成 支援手順
図―8:業務フロー」作成 支援手順
Ⅵ.弊社における「業務可視化」の成果
弊社は、ある製造業においてERPシステムの運用管理を顧問として10年間担当していました。最初に取り組んだのは、その企業の情報の流れや社員の役割を把握するための「業務可視化」でした。この取り組みの目的は、ERPシステムを正しく運用し、情報を適切に活用することでした。
当時は「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉はありませんでしたが、業務可視化を実施することで、ERPシステムの効果的な運用を実現しました。その大きな成果の一例として、棚卸し作業の効率化があります。詳細はこちらをご覧ください。