いい話題ではないが
今年最初の記事としては、いい話題ではないが、「アベノミクス」の“副作用が中小企業・小規模事業者に集中している実情がある。
【日刊工業新聞社のニュースサイト】より
衆議院調査局が全国2万社を対象に実施した調査によると、仕入れ価格の上昇や受注減など円安が経営にマイナスになっているとの回答割合がすべての項目で大企業を上回った。他方、経済の好循環のカギを握る賃上げについては中小企業の13%が全社員の賃金を底上げするベースアップ(ベア)を実施すると回答。厳しい収益環境ながらも限られた原資を振り向けようと腐心する姿がうかがえる。
調査は衆議院調査局の経済産業調査室が2014年11月末に実施。1万516社から有効回答を得た。回答企業の92%(9706社)が資本金3億円以下の中小企業で、うち23%(2513社)を小規模事業者が占める。
「アベノミクス」による為替の円安進行が経営に与える影響(複数回答)を尋ねたところ「原材料の仕入れ価格上昇」の回答割合は中小企業で49%、小規模事業者が47%、大企業は40%。「景気が悪くなり業績見通しが暗くなった」は中小企業が19%、小規模事業者の21%だったのに対し、大企業は11%にとどまった。逆に円安のプラス面である「受注や輸出増」や「為替差益による収益増」「海外からの旅行客増の恩恵」の回答割合はいずれも大企業が中小・小規模事業者を上回る結果となった。
今回の調査では、今後の賃金の引き上げ動向についても尋ねた。定期昇給を実施するとの回答割合は大企業の43%、中小の49%対し、小規模事業者は30%と著しく低く、賃上げを検討できる事業環境に至っていない企業が多く存在することがうかがえる。